微好気性菌研究と低酸素チャンバーの役割
その研究成果が期待される微好気性菌
低酸素チャンバーは微好気性菌の培養や低酸素環境での組織・細胞培養に広く使用され、健康寿命や食の安全への関心から、微好気性菌の研究は今後も重要な分野として発展していくと考えられます。
微好気性菌は、生育に少量の酸素を必要とする細菌のグループで、大気中の酸素濃度(約21%)よりも低い3%~15%程度の環境に存在します。
特に、10%までの酸素濃度での増殖力が高く、高濃度の酸素や無酸素状態では存在できません。
微好気性菌の研究は、医学、食品科学、環境科学など、多岐にわたる分野で重要な役割を果たしています。以下に、具体的な研究内容をいくつかご紹介します。
医学分野
病原性微好気性菌の研究
ヘリコバクター・ピロリは胃潰瘍や胃がんの原因となる細菌で、その病原性や感染の仕組み、治療法の研究が行われています。
また、カンピロバクター・ジェジュニは食中毒の原因となる細菌で、その感染経路や毒素産生機構、薬剤耐性に関する研究が進められています。
これらの研究は、新たな診断法や治療法の開発に繋がっています。
腸内細菌叢の研究
ヒトの腸内には多種多様な微好気性菌が生息しており、その組成や機能が健康に与える影響が研究されています。
腸内細菌叢のバランスが崩れると、炎症性腸疾患や肥満、糖尿病などの疾患に関与する可能性が示唆されており、そのメカニズムの解明が進められています。
食品科学分野
食品の腐敗に関する微好気性菌の研究
食品中の微好気性菌の増殖を抑制することで、食品の保存性を向上させる研究が行われています。
包装技術や保存料の開発、低温殺菌などの技術が研究されています。
食品発酵における微好気性菌の利用
一部の微好気性菌は食品発酵に利用されており、ヨーグルトやチーズ、発酵ソーセージなどの製造に役立っています。
これらの発酵食品の風味や栄養価を高めるための研究が行われています。
環境科学分野
土壌や水圏における微好気性菌の研究
微好気性菌は土壌や水圏における物質循環に重要な役割を果たしており、その生態系における機能が研究されています。
汚染物質の分解や、窒素循環などに関わる微好気性菌の働きが注目されています。
バイオテクノロジーへの応用
微好気性菌の中には有用な酵素や生理活性物質を生産するものがおり、バイオテクノロジーへの応用が期待されています。
医薬品や化学製品の生産に利用するための研究が進められています。
今後も拡大を続ける微好気性菌の研究
微好気性菌の研究は、私たちの健康や食生活、環境保全に貢献する可能性を秘めており、低酸素チャンバーは微好気性菌の研究と培養に最適な環境を提供します。
低酸素チャンバーを選ぶポイントは、研究対象となる微生物の種類、必要な酸素濃度、チャンバーのサイズ、予算などがあります。
SheldonのBactrox/バクトロックスはチャンバー内が広く腕を直接挿入できるため、グローブボックスのようなストレスがなく、効率的で精度が高い研究に貢献します。
バクトロックスの主な機能
- 腕を直接挿入できるスリーブカフシステム
- 作業しやすい広い作業スペース
- 視界が広く作業しやすい前面クリアパネル
- チャンバー内に培養庫を装備
- 結露やくもりを防止する制御器を装備
- サンプル・備品の持込が可能なエアーロック
- 1~20%の酸素濃度・二酸化炭素濃度を設定可能