CO2インキュベーターとは?

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CO2インキュベーターは細胞を体内に近い環境で培養する装置

CO2インキュベーターは『温度』『CO2濃度』の数値を一定値に設定し、その環境を安定した状態に保つことで、さまざまな試薬や細胞などの試料をより相応しい条件に近い状態で培養するための機械です。

CO2インキュベーターは、扉を開けて物を出し入れしたり、中の温度を一定にすること、その形状からも冷蔵庫のようなイメージですが、基本的には細胞培養に適した環境にするため、チャンバー内部を人間の体内環境に近付けるように加温しCO2濃度をコントロールします。

また、チャンバー内部の熱とCO2を循環させて均一にするためのファンや、CO2ガスを充填するための装置、CO2センサー、温度センサーなどが設置されており、任意の値を設定することで安定した培養環境を整えることができます。

細胞を培養する際には培地という培養液に細胞を浸しますが、培地の蒸発による乾燥を防止するため、一般的にはチャンバーの下部に加湿用のバットを置き、バット内の水が自然蒸発することでチャンバー内を加湿するのが一般的です。

 

CO2インキュベーターの温度制御方式は大きく2種類

【ウォータージャケット方式】
CO2インキュベーターのチャンバーの外側に配置された水槽に水を注入して、チャンバーを水で覆うようなシステムです。周りの水を温めたり冷ますことでチャンバー内の温度を調整します。
従来からの制御方法で、現在も多くのCO2インキュベーターで使用されています。
メリットは、温度ムラが少ないため温度安定性が高く、保温効率に優れているのが特徴です。不測の停電やアクシデント時でもすぐに温度が下がらず、庫内の試料を保つことができます。
デメリットは、水の温度変化に時間がかかり、設定温度を変更してもすぐには安定しません。構造が複雑で水が注入されているため重くなり、管理や移動には手間が掛かります。

【エアージャケット方式】
CO2インキュベーターのチャンバーの外側にヒーターが配置されており、ヒーターの熱で庫内の空気を温める方式です。チャンバー内で高温の空気を循環させることでチャンバー内を滅菌できる機種もあります。
メリットは、構造がシンプルで、温度調整の変化が速いことが挙げられます。また、価格が比較的安価です。水を使わないため軽量で、コンタミネーションのリスクも低下します。
デメリットは、設置場所の状況や季節の温度変化といった周囲環境に影響されやすいことや、不測の停電やアクシデント時に短時間で温度が低下するリスクがあります。

ウォータージャケット方式、エアージャケット方式、どちらの方式にもメリットとデメリットがあります。
お使いの環境や使用用途に合わせ、最適なモデルをご検討ください。

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